【皐月賞 2023】無敗馬ソールオリエンス、前哨戦制覇のファントムシーフ、大混戦のクラシック一冠目は誰の手に!?【能力評価】

2023

参考レース解説

朝日杯FS組

荒れた馬場と、強風というコンディションにより上がりのかかるかなりタフなコンディション。ペースとしても前半からかなり早く、それなりに先行馬にとって苦しい競馬に。

ただ、差しの効きにくい悪い馬場状態ということもあり決して後方の馬に有利というわけでもありませんでした。結果としてベストだったのはインでロスなく運んだ好位の馬、という形です。

勝利した②ドルチェモアが確保したポジションはまさに絶好。インでロスなく運ぶ競馬ができました。同様のポジションを確保した8人気5着の⑤バグラダス、16人気4着の①キョウエイブリッサが激走していることからもいかに恵まれたポジションだったかわかります。

故に皐月賞にも出走する⑫ダノンタッチダウンは、後方から外を回して2着。同様のコースどりをした⑭レイベリング同様にこのレースで最も強い競馬をした1頭といえ、レースの格を考えれば今回は押さえておく必要はあるでしょう。

とはいえ、1着のドルチェモアはのちの NZT で7着、3着のレイベリングが共同通信杯で9着とやや不甲斐ない成績となってしまっている朝日杯FS組。G1レースとはいえ多少疑いの気持ちを持ってみる必要はあります。

ホープフルS組

逃げ馬不在のレース。結局押し出されてハナに立ったのが⑧トップナイフ。そのままどの馬もせりかけることなく4コーナーまでゆったりとしたペース。

結局番手から差しただけの⑪ドゥラエレーデが1着、逃げた⑧トップナイフが2着と行った行ったのレースになってしまいました。

故にここでの着順はあくまで展開によるものであり、そのまま能力の差だと捉えるのは禁物です。

どちらかといえば最後には前との差を縮めた、差し馬の方を上にとった方が良いかと思います。

とすれば①ファントムシーフは中団のインで控えて、直線だけで勝馬に 0.2 s 差迫る競馬。ホープフルS組では最も上位に取るべき馬となるでしょう。後の共同通信杯でも楽々の勝利。本命最有力の一頭です。

京成杯組

良馬場発表でしたが、当日は1日を通してかなり時計のかかる馬場コンディション。重馬場ばりの特殊馬場状態であったと考えられます。

ペースとしても時計上は緩く見えますが、先行馬にとっては思ったほど楽なペースではなかったでしょう。

ここで勝利したのが④ソールオリエンス。終始外を回らされるロスの多い走りで、2着に0.4s差の楽勝勝ち。京成杯組の中では力が違ったといえるでしょう。

ただ、2着の③オメガリッチマンがシンガリ人気で2着に突っ込んできているところを見ると、特殊な馬場への適性が問われるレースだったという見方もできます。ここまでの圧勝劇はソールオリエンスにとってもこういった馬場への巧者ゆえという可能性も。

また、3着の⑦セブンマジシャンはスプリングS、ホープフルSと全く勝負になっておらず、メンバーレベルはさほど高くはありません。京成杯組については基本あまり評価できないですが、ソールオリエンス底が見えていないので一考の余地はあります。

若駒S組

小頭数、世代限定の2000mらしい、ゆったりとした流れで決着したレース。

ペース的にはやはり先行馬有利と言えるでしょう。ですのでここを最後方から追い込んで勝利した⑤マイネルラウレアには高い評価を与えることができ、若駒S組では一つ頭抜けた存在と言えるでしょう。

2着の①ワンダイレクトは最内枠を活かした番手のインを終始確保。展開面を考えても立ち回りが上手くいったゆえの2着。これで敗れたのであれば着差以上に能力の差は大きいでしょう。

メンバーレベル的には①ワンダイレクトが弥生賞3着の成績があり、非重賞のステップレースの中では決して悪くありません。マイネルラウレアに関してはまだ底を見せてもいませんから、馬券として押さえておく必要はあるかと思います。

きさらぎ賞組

基本的には平均に近いペース。展開的にはかなりフラットなレースだったと考えられます。

1着は②フリームファクシ。かかり気味に番手を奪うかなり雑な競馬を押し切って勝利という内容で、能力だけで勝利したような形に見えます。持っている潜在能力だけを考えれば、2着以下との差は着差以上にあると見て良いでしょう。

とはいえ2着に下した⑦オープンファイアがアイビーSでは1勝クラス馬に先着を許しているような状態ですから、メンバーには恵まれた感は大きいです。

気性面にもすぐに改善するとは思えません。今回も全力を出し切る可能性は低いでしょう。フリームファクシにはそこまでの買い要素は感じられません。

共同通信杯組

逃げ候補だった⑤タッチウッドが出遅れ。押し出されるように逃げ馬が決まったことで、テンの入りがかなりゆったり。

タッチウッドはその後ハナを取り切って、その後もペースを落としました。よって全体的に見れば先行馬にとってはかなり楽な展開だったのではないかと思います。

勝利したのは⑤ファントムシーフ。好位に位置し直線では早々に番手に。逃げるタッチウッドを差し切って1馬身差の着差をつけて危なげなく勝利しました。ハマった感はありますが、他の好走馬が大きく不利を受けたともいえないので、能力的にも順当に上と評価できるでしょう。

⑤タッチウッドは前半の出遅れがなければ、もう少し着差は詰められていたとは思います。とはいえ全体ペースが遅めで、道中でハナを取り返す難易度は見た目以上には難しくなかったことと、1馬身差は大きすぎる着差です。ファントムシーフには劣ると考えて良いでしょう。

⑥タスティエーラは最内ロスのないポジショニングを確保して、好位から差し込むベストな競馬が出来ました。しかしそれでも4着という結果を考えれば、ここでの1~3着馬には一段劣ると考えて良いでしょう。

5着の⑪ウインオーディンは後方からの追い込み馬ですが、展開を考えればそこまで悲観するような内容ではありません。とはいえ4着にすら0.2s差をつけられてしまっており、能力だけでの巻き返しは少々難しいでしょう。しかし一発秘めた脚質なので展開によっては抑える必要はあり。

ここでは評価しづらいタスティエーラですら弥生賞で勝利、ファントムシーフは内容を考えればホープフルS組で最も強い競馬をした一頭と考えられます。ゆえに共同通信杯組はメンバーレベルが非常に高かったと見るべきでしょう。特にファントムシーフ、タッチウッドまでは本命候補の一頭として考えるべきです。

すみれS組

6頭立てという超小頭数となったレース。距離2200mと長めの距離設定も相まって、前半3F37.7sの超絶スローペースに。先行馬が楽だったこともそうですが、4コーナーでは馬群が凝縮したので末脚比べでの決着となりました。

その中で勝利したのが③シャザーン。この馬はスタートで出遅れ。道中もなかなか前に動かずで4コーナーでも一頭だけ後方に置いてかれた馬です。

直線の末脚だけで追い込んできましたから、展開を考えれば2着以下とはかなりの能力差が感じられます。ここでの2着が①ショウナンバシット。この馬は最内の前方を回ってきただけのレースです。あまり高く評価する必要はありません。

レース、メンバーのレベルは低く、全体としては評価できるものではありませんが、絶望的な位置から競馬して勝利したシャザーンは、次走以降一変の可能性は高いです。軸向きではないですが、押さえておく価値はあると思います。

スプリングS組

雨により重馬場の中山1800m。先行馬群を形成した、①、⑧、⑩の3頭が大きく離して積極的に引っ張る競馬。

ただ一方で重馬場により末脚が活きる馬場状態にはならなかったことで、ペースは早かったものの先行馬有利のレースであった可能性が高いです。逃げた①グラニットは重賞で通用する馬ではないですが、ここでは4着に残ることができているあたり、その傾向はあると見て間違いないでしょう。

ゆえにここを中団から直線は外まわしで差し切った④べラジオオペラには高い評価を与えるべきです。2, 3番手をロスなく立ち回った⑩ホウオウビスケッツと比較すれば、0.2s差の着差も勘案して数段上とみて間違いないでしょう。

出走メンバー的にはやや物足りないですが、べラジオオペラのレース内容は注目で、底を見せていない点も考慮すれば馬券には必ず入れていく必要があるでしょう。

まとめ

ステップレースのレベル感で言えば、やはり共同通信杯組に軍配が上がります。当然勝ち馬のファントムシーフ、負けて強しのタッチウッドは本命候補となり、これらより一歩劣りますがタスティエーラくらいまでは押さえておきたいところです。

共同通信杯組よりは劣りますが、G1で好走のトップナイフダノンタッチダウンは展開によっては好走が期待できます。

ただし今年は無敗のソールオリエンス、マイネルラウレア、べラジオオペラがおり、彼らは底を見せていないだけに能力比較が難しいですね。個人的には彼ら無敗の新興勢からはべラジオオペラに期待しています。

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